こんにちは、Dr.Bです。
このシリーズでは僕が実際に専門としている分野から、国民病といわれるほど患者数が増加している糖尿病についての話題を提供していきます。
第1回目となる今回お話したいことは、そもそも糖尿病とはなんぞや?ということです。
みなさん糖尿病と聞いてどんな病気をイメージしますか。
読んで字のごとく尿から糖が出る病気?
血糖値が高くなる病気?
…惜しいです。間違ってはいないのですが本質ではありません。
糖尿病は、全身の臓器が糖をエネルギーとして使えなくなってしまう病気です。
これを知ることで糖尿病の理解がぐっと早まります。
さっそく解説していきます。
さて、糖尿病と聞いてインスリンという言葉を連想する方も多いのではないでしょうか。
まずは糖尿病について説明する前に、糖尿病と切っても切り離せないインスリンについて説明します。
インスリンとは膵臓から分泌されるホルモンの一種です。血液中に放出され全身に働きかけます。
その効果は、主に血液中の糖分(グルコース)を各臓器に引き入れるための手形として働きます。
糖尿病では、このインスリンの作用が不足します。
インスリン自体が出なくなってしまう、膵臓側に問題があるのが1型糖尿病。
インスリンは出ているのに効果が弱い、インスリンの受け手側に問題があるのが2型糖尿病です。いわゆる生活習慣病の糖尿病はこの2型糖尿病になります。
健常者ではインスリン(手形)一つで効果が出ていたものが、肥満によってインスリン二つ三つないと効果が出なくなってしまうのです。(専門的にはこれを『インスリン抵抗性が上がる』と表現します。)
インスリンが作用しなくなると各臓器はエネルギー源として糖を取り込むことができなくなり、仕方なく細胞自身を構成している蛋白質や脂質を分解してエネルギー源に変換していきます。
『糖尿病が悪くなるとやせていく』というのはこの原理によるものです。
血管は栄養の供給路です。各臓器に栄養を配ります。
どの臓器も糖質を受け取らないのであれば、必然と血液中は消費されない糖であふれていくこととなります。
なので糖尿病では血糖値が高く、尿中に糖が漏れてくるようになるのです。
…一部の先生は「糖尿病」という病名は病態の本質からそれるので変えたほうがいいとおっしゃられていますがこの理由のためです。
次回は糖尿病を予防・管理しないとどうなるのかについてお話したいと思います。
それではまた。
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