【HbA1cとは】糖尿病の検査データ【食事は抜いたほうがいい?!】

HbA1c 誰でもわかる糖尿病・甲状腺
HbA1c

こんにちは、Dr.Bです。
本シリーズ第2回は、糖尿病に関わるデータについてお話ししていきたいと思います。

まず、一般診療で糖尿病の状態を判断するとき、
血糖値
HbA1c(ヘモグロビンエ-ワンシー)
の二つの項目をみます。

血糖値はイメージがつきやすいけど、HbA1cって横文字はなんだかわからん…という方も多いと思いますのでわかりやすく説明していきます。

そもそもHb(ヘモグロビン)とは、赤血球のことをさします。
血液の中で酸素を運ぶ役割を果たしていて、たとえば「貧血で倒れた」というのはこのHbが不足していることに起因します。

赤血球(Hb)と酸素(O2)
赤血球(Hb)と酸素(O2)


さてこのHb(赤血球)、実は結構長生きなんです。
一度骨で作られると、3ヶ月は血液に存在して酸素の運搬を行います。
ぐるぐるぐるぐる身体の中をかけめぐるのです。

血液にはHb(赤血球)以外にもたくさんの成分が行きかっています。

血液の中
血液内

血管内は交通整理もされていないため衝突することもしばしば…
ただし一方通行なので大事故にはなりません。

では、ここで高血糖状態になったらどうでしょう。
血液中の糖の比率が増え、赤血球にぶつかるとべちゃっとくっつきます。

高血糖だと
高血糖になると…




勘のいい方はお気づきでしょうか。



HbA1c
HbA1c

そう、こいつ。
糖がべちゃっとひっついたHb、こいつがHbA1cです。
HbA1cは別名「糖化ヘモグロビン」と呼びます。

Hbのうち、この糖がへばりついたHbがどのくらいいるか、この割合が血液検査値でのHbA1c(%)で表わされるのです

前述のようにHbは生まれてから約3ヶ月間は血液内をめぐり続けるため、このHbA1cは過去2-3ヶ月間にどれだけ高血糖状態が続いていたかの指標になります。

具体的には健常人で約5.5%、糖尿病予備軍で5.5-6.4%、糖尿病の診断基準は6.5%以上を示します。

ちなみに初診時にHbA1cが10%を超えている患者さんについては入院加療を勧めさせていただいております。ここまで血糖状態が悪いと、インスリン注射による迅速な血糖管理が必要なのと、シリーズ第2回でお話ししたようにいろんな合併症が隠れている可能性があるためです。

また、外来診療で糖尿病を治療していくにあたって、65歳未満の患者さんの目標HbA1cは7%未満です。7%未満であれば合併症の進展を予防できるとされています。
65歳以上の患者さんの目標値は、個々人の状態によって細かく分かれています。
長くなるのでまた機会があれば別の回でお話ししようと思います。




血糖値自体は直前に食事をしたかどうかや、その食事内容によって変動します。
少しでも条件をそろえて評価するために、健康診断では朝食抜きの状態で午前中に採血されることが多いかと思います。この状態を空腹時といい、医学的には10時間以上絶食した状態をさします。
空腹時血糖値:126mg/dL以上、かつHbA1c:7%以上で糖尿病の診断基準となります。

では、通院中は毎回食事を抜いて採血しないといけないかというと必ずしもそうではありません。糖尿病専門外来では、空腹時の血糖値でも食後の血糖値でもそれぞれしっかり評価します。
たとえば、管理目標であるHbA1c:7%を目指すには空腹時血糖値:130mg/dL未満あるいは食後2時間血糖値(糖尿病患者では食後2時間が最高血糖値となることが多いため)が180mg/dL未満であればよいのです。
糖尿病治療薬の中には空腹時血糖値を下げやすい薬や食後血糖値を下げやすい薬など様々な種類があるため、患者毎の血糖推移に応じて薬を使い分けているのです。

なのでもしも糖尿病の通院中に採血をしている方がいたら、食後何時間での採血か、直前の食事内容は何だったかなどを伝えていただくとよりよい治療につながるかもしれません。



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